私たちの研究室では、細胞の記憶装置であるエピジェネティクスが、個体の記憶装置である脳で果たす役割の解明に取り組んでいます。この研究は加齢やストレス、精神疾患などによる脳の機能変化のメカニズムの理解に寄与することが期待されます。
私たちの遺伝情報はゲノムDNAに書き込まれています。哺乳類では30億塩基対もあるDNAの中から必要な遺伝情報を適切に読み取るために、細胞の中では特別な仕組みが働いており、この1つがエピジェネティクスによる制御です。DNAやDNAがまきつくヒストンなどに施されるメチル化やアセチル化といった化学修飾が「しおり」として機能し、その細胞で必要な遺伝子のみが発現する基盤のメカニズムとなっています。
このエピジェネティクスによる「しおり」は、細胞が過去に受けた刺激や経験に応じて付与されます。すなわち、エピジェネティクスは細胞の記憶装置として機能します。では、細胞の記憶装置であるエピジェネティクスは、個体の記憶装置である脳においてどのような役割を果たしているのでしょうか?
私たちの研究室では、最新のゲノム解析に必要な生化学・分子生物学・バイオインフォマティクス技術と、脳機能の解析に必要な遺伝学・神経科学技術を組み合わせることにより、エピジェネティクス解析から脳の不思議を理解することに取り組んでいます。